患者さまと共に
「いちばんいい道」を考えることを大切に
リハビリテーション科 作業療法士 Sさん
作業療法士の業務はとても幅広い
私は新卒で当院へ入職し、現在3年目となります。社会人として最初の仕事先を当院に決めた理由は、作業療法士として患者さまの維持期や回復期、訪問リハビリテーションなど、幅広い分野での学びを得られると考えたからです。
当科では、私たち作業療法士のほか、理学療法士、言語聴覚士の3つの職種が協力し合って、患者さまの生活の質を向上させるべく、リハビリテーションを行っています。混同しやすいかもしれないですが、理学療法士は立ち上がるため、寝返りをするための体の筋力の強化を行います。私たち作業療法士は食事や着替え、風呂、掃除など日常動作に対するリハビリテーションを担当します。食事の際のお箸を持つためにはこの筋力を鍛えようとか、掃除であれば掃除道具の選定も含めその操作の練習、ペットボトルが開けられないのであればそのための福祉用具や自助具を選定したり紹介したりすることも、私たち作業療法士の仕事です。入院時に家の状態や生活の様子を詳しく聞き取りし、入院中から退院後の生活を想定したリハビリテーションを行うようにしています。
患者さまお一人について得られる情報量は、かなり多くなります。聞き取りは、さまざまな項目による評価シートを活用し、整理しています。
なかでも最も重要になるのは、患者さまが「何に」「どこに」重きを置いているかということです。固執すると肝心なことを見落としてしまうことも少なくないので、自宅へ帰る上で大切なものを気付いてもらうよう、患者さまと一緒に考え決めていきます。
新卒から独り立ちまで、手厚い教育体制
教育体制はかなり手厚いと思います。業務の進め方や考え方等は、先輩方から指導していただきました。作業療法に必要な、さまざまな評価方法や検査に関しても、マンツーマンで練習・指導していただきました。先輩方からの合格をもらえて初めて患者さまに実施するという方式のため、合格をもらえると自信がつきました。リハビリ以外にも書類作成、ご家族や医師への書類説明対応も先輩と練習し、慣れないうちは先輩が同行してくれていました。
作業療法士としてのやりがいは、患者さまの反応
日々のリハビリを終えた時や、退院日の患者さまの言葉はとても励みになっています。また、セラピストとして自宅退院へと導いていけたという感情が、やりがいにつながっています。
なかでも印象に残っているのは、全く歩けない患者さまが自宅療養へと切り替えられたケースです。ご本人とご家族が納得され「四つ這い」という形で、退院されました。私たちには「自宅での生活は歩けないと難しいのでは」との思いがありましたが、膝のプロテクターを使う、家の環境を整える等で、自宅へ帰ることができました。確かに、四つ這いでも座ることや、手を動かすことはできます。患者さまご自身の帰りたいという望みが叶って良かったと、今でも思い出すケースです。
今の私は、「訪問リハ」が気になっています。維持期、回復期での経験に加え、訪問リハのメンバーと積極的に関わることで知識を深めています。自宅でのリハビリテーションは病院でのそれとは全く異なるので、今後は勉強会に参加してより学びを進めていきたいと考えています。